今日は令和でちょっぴりブームになった万葉集を調べてみました。
古事記や日本書紀よりか、なんかとっつきにくいんですよね。歌って馴染みのないので。
万葉集
万葉集は全20巻、奈良時代の歌集。約4,500首を収録してます。
鎌倉と万葉集
万葉集には、鎌倉ゆかりの歌が4首掲載。
そこには「鎌倉」「鎌倉山」「鎌倉の美奈の瀬川」など鎌倉の地名が載ってます。
万葉集には1巻ごとにテーマがあって、鎌倉の歌が掲載されているのは14巻「東歌」。
万葉集の概要
万葉集に掲載されている期間は、舒明天皇即位前~759年まで。つまり圧倒的に奈良が中心の時代。
※舒明天皇(34代天皇|593~641年)
歌を詠んだ人は、天皇から皇族、貴族、宮廷歌人、農民、防人、不明とオール日本人って感じです。
その中でも、歌の1割を占めるのが「大伴家持(おおとものやかもち)」です。
大伴家持とは?
718-785年。奈良時代の公卿・歌人。
大伴旅人(おおとものたびと)の子供して太宰府に生まれ、 橘諸兄の政権下で内舎人となる。
※橘諸兄(たちばなのもろえ):母は橘三千代(藤原不比等の妻)
※内舎人(うどねり):律令制の官職の一つ、護衛。
血筋も良くて、歌の才能もあったので女性からモテモテ。恋歌を交わすこと多数だったそうです。
また、万葉集の17~20巻(ラスト4巻)は、家持の歌日記形式になってて、これが歌の多さに関わってそうですね。
大伴旅人とは?
665-731。飛鳥~奈良時代の公卿・歌人。異母妹には女流歌人の「坂上郎女(さかのうえのいらつめ)」。
728年太宰府の長官に任命。
山上憶良(筑前守)とは歌のやりとりで深く交流するようになった。
・新元号「令和」
「令和」が生まれたのはこの大伴旅人の自宅(大宰府政庁)でおこなれた宴会。
この邸宅跡が「坂本八幡宮」で、令和ゆかりの地って言われてるんですね!
でも八幡宮だから、御祭神は応神天皇ですよ。
ちなみに「令和」は和歌じゃなくて、いつどこでどんな理由でこの詩を詠んだのかっていう説明書きの部分に記載されてますよ。だから結構長い文章です。。。
万葉集の登場人物としては、まずはこれくらいから始めるのが良いでしょう。多すぎてもね!
奈良と万葉集
万葉集の中心は何と言っても奈良です。奈良市だけで250の万葉地名。
「奈良」という地名の付いた歌は51首。鎌倉の3首の17倍です!
万葉集の中心人物「大伴家」は、奈良→大宰府へ移ったこともあり平城京を想う歌を九州から歌ったりしてますね。
他にも奈良県内は時の勢力ゆかりの地がアチコチあるのでいろんな地名が出てきます。
過去の奈良検定の出題内容を使って少し味わってみましょう。
・生駒山(生駒市)
難波津を 漕ぎ出でて見れば 神さぶる 生駒高嶺に 雲そたなびく | ⑳ 4380 防人の歌
まず、⑳とは万葉集20巻に掲載しているということ。4380は、4380番目の歌ですよと。
防人(さきもり)は、九州沿岸の防衛のために設置された人。
・阿騎野(あきの)(宇陀市)
東の 野にかぎろいの 立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ | ① 48 柿本人麻呂
柿本人麻呂:660-724年。飛鳥時代の歌人。
かぎろいの丘万葉公園 阿騎野人麻呂公園
・明日香
采女の 袖吹き返す 明日香風 都を遠み いたづらに吹く | ① 51 志貴皇子
志貴皇子(しきのみこ):?-716年。天智天皇の第7皇子。万葉集に6首の和歌を残す。
権力闘争に巻き込まれないように昇進等を望まず大人しく暮らす。
結果、天武天皇系の子がいなくなり、天智天皇の志貴皇子の孫「桓武天皇(50代天皇)」へと続く。
・巨勢山(こせやま)(御所市古瀬)
巨勢山の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲はな 巨勢の春野を | ① 54 坂門人足
坂門人足(さかとのひとたり):飛鳥時代の歌人。
持統上皇の紀伊国行幸の時に、坂門人足が巨勢で詠んだ歌。巨勢は椿で有名。
・吉野離宮
山川も よりて仕ふる 神ながら たぎつ河内に 船出せすかも | ① 39 柿本人麻呂
万葉集で吉野とは、吉野離宮(天武・持統天皇が逃れた)のあった宮滝一帯を指す。
皇子たちと万葉集
万葉集はただ読むだけじゃなくて、時代背景を知って読むともっと面白くなると思います。
特に天智天皇(38代天皇)と天武天皇(40代天皇)の系譜を抑えると、皇子たちの恋愛やゆかりの地などが繋がって虜になるかもしれませんよ!
・二上山(ふたがみやま|にじょうさん)
葛城市當麻ある山。二上山雄岳山頂には大津皇子の墓がある。
大津皇子(母:大田皇女)は権力レースで犠牲になった皇子。ライバルは草壁皇子(母:持統天皇)
父はともに天武天皇。子供を天皇にしたい持統天皇の策略で大津皇子が死去。
・佐保川(さほがわ)
春日山から奈良中心を流れ、初瀬川、大和川に注ぐ川。佐保川は万葉人のデートスポット。
大伴坂上郎女は佐保川沿いで生まれ育ち、プレイボーイ穂積皇子に嫁ぐが死別。
※穂積皇子(天武天皇第5皇子)
奈良県立万葉博物館
先日、この拙い万葉集の知識で行ってきました。
なんと拝観料無料(日本画展?は800円ほど)で見ることが出来ました。
万葉集について、ディスプレイ等を通じてざっくりと学ぶことができます。
14分ほどの額田王の歌劇や、天武天皇や天智天皇の系図など勉強になりますよ。
この奈良県立万葉博物館は、富本銭が見つかった飛鳥池の上にあるんですね!
開館時間 10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は平日の翌日)
年末年始/展示替日!